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黄昏異変 肉欲の奈落
第1章 女医 早苗
 「乳首、大丈夫?」
 「まだジンジンしてる」

 早苗は自分の手でそっと胸に触れた。

 「ごめん」
 「いいの。よかったわ。昨日、途中までお話した両親の録画ビデオの事」
 「ご両親の秘密か」
 
 早苗はすこし緊張した面持ちで話し始めた。 

 「あのビデオには、逆さにロープで吊るされた喪服の女性をいたぶる父の姿が映っていました。
 吊るした婦人の喪服の裾をめくる、目を背けたくなるおぞましい父の姿でした。
 それだけではなかったの。よく見ると、その背後には、もう一組の男女。それがあの日の男と母でした」

 「ま、まさか幸子さんが」
 「母もまた、その男に身を任せ・・・。それ以上は言葉にすることも憚られる淫らな姿。しかも、それが、そのとき、わたしが立っていた両親の寝室での光景・・・」
 「君の言う『汚れた血』とはそのことだね。子ども心にそう映るのは仕方のないことだ」
 「それから、まだお話ししなければならないことがあります」
 「まだ?まだあるの。待ってくれ。今日はこれぐらいにしよう。僕はもう限界だ」
 「ごめんなさい。明日、お仕事ね」
 「仕事と言うほどのことはないけど、とにかく一度今日のことを整理しないと、今夜眠れなくなりそうだ」
 「もう少しお飲みになります」
 「きょうはいい。一人にしてくれ」
 「しゃあ、明日」
 「ああ、話の続きは明日会って聞かせてもらうよ」

 浩二は早苗を抱いてキスをした。
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