この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
色欲のいりひ
第5章 おげんきですか
今までさんざん憎んだ、このいりひ。
だが今ではなんとなく温かさまで感じる。
そんな不思議な感覚を覚えていた。
茉莉は何かを発見したようだった。
「あの水槽の中に入っている生き物は何かしら」
「亀」
テラスに置いてある水槽を見つけたようだ。
「みたいか? 」
「うん」
俺はテラスに出て簀の子の上に置いてある、亀の入った水槽を両手で捕る。そして室内に戻り、茉莉の前に置く。
青い亀が2匹いる。
「あらカワイイ。この子たち名前なんていうの? 」
「あなる'S」
「……」
そして茉莉はいきなり服を脱ぎ始める。
座りながら服を脱ぎすてた。
そして立ち上がり、黒いタイトスカートを脱いでストッキングを下ろす、そして最後は赤いパンティーを脱ぎ捨てた。そして俺の目の前に少し足を開いて立った。
「なんの真似だよ」
俺はそういいながら見上げると、茉莉は無言で真正面を向いたままだった。
茉莉はいきなり座り込み、俺の顔の目の前に自らの顔を近づけた。
「貴方も脱ぎなよ」
熱い吐息が鼻の頭に吹きかかる。
ふたりは裸のまま抱き合い畳の上に寝転んだ。
唇と唇が触れ合う。
触れ合った唇はゆっくりと離れていく。
そして見つめあう。
アイツはもうやってこない。
「これが健全な営み…… そして普通の感覚…… 」
茉莉がそうつぶやいた。
あの日あの時あの場所であの匂いをかがなければ、アイツと出会うことはなかったのだろう。そして今日まで普通の営みを知らずに生きて来た。
普通の営みというものを、俺は今日初めて知った。
俺も普通に生きることを許されたみたいだ。
「畳の匂い、懐かしいわね」
「そうか」
「その声も懐かしい」
「ふぅん」
「私の匂いはいかが」
「いらない」
「アハハ」
茉莉がはじめて笑った。
それは色欲のいりひを愛した、桜の花咲く季節の出来事。
おわり
だが今ではなんとなく温かさまで感じる。
そんな不思議な感覚を覚えていた。
茉莉は何かを発見したようだった。
「あの水槽の中に入っている生き物は何かしら」
「亀」
テラスに置いてある水槽を見つけたようだ。
「みたいか? 」
「うん」
俺はテラスに出て簀の子の上に置いてある、亀の入った水槽を両手で捕る。そして室内に戻り、茉莉の前に置く。
青い亀が2匹いる。
「あらカワイイ。この子たち名前なんていうの? 」
「あなる'S」
「……」
そして茉莉はいきなり服を脱ぎ始める。
座りながら服を脱ぎすてた。
そして立ち上がり、黒いタイトスカートを脱いでストッキングを下ろす、そして最後は赤いパンティーを脱ぎ捨てた。そして俺の目の前に少し足を開いて立った。
「なんの真似だよ」
俺はそういいながら見上げると、茉莉は無言で真正面を向いたままだった。
茉莉はいきなり座り込み、俺の顔の目の前に自らの顔を近づけた。
「貴方も脱ぎなよ」
熱い吐息が鼻の頭に吹きかかる。
ふたりは裸のまま抱き合い畳の上に寝転んだ。
唇と唇が触れ合う。
触れ合った唇はゆっくりと離れていく。
そして見つめあう。
アイツはもうやってこない。
「これが健全な営み…… そして普通の感覚…… 」
茉莉がそうつぶやいた。
あの日あの時あの場所であの匂いをかがなければ、アイツと出会うことはなかったのだろう。そして今日まで普通の営みを知らずに生きて来た。
普通の営みというものを、俺は今日初めて知った。
俺も普通に生きることを許されたみたいだ。
「畳の匂い、懐かしいわね」
「そうか」
「その声も懐かしい」
「ふぅん」
「私の匂いはいかが」
「いらない」
「アハハ」
茉莉がはじめて笑った。
それは色欲のいりひを愛した、桜の花咲く季節の出来事。
おわり