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純愛ハンター
第8章 裁き8、マイスイートホーム
(こんなに頑張ってるのに…こんなに努力してるのに…なんでお父様はただ黙って寝てるだけの真紀を…何の努力もしてない真紀をあんなに愛すの?酷い…ズルい…不公平だ…!)

ついにお嬢は父の愛情を失いかけている事実を直視せざるを得なくなり、これまで着々と築き上げてきた自信が…自尊心が…誇りが…音を立てて引っくり返った。
そして、お嬢は生まれてはじめて…

「うう…あぁぅ…グスっ…う…うぅっ…わぁぁぁ~んっ!あぁ~ん!うっ…あうっ…うわあぁぁぁ~っ!」

自室で布団を頭からかぶり、大声を上げてわんわんと泣いた。
もう父は、愛も嗜めも罰も試練も与えてはくれない。
お嬢はこの時、父親に見捨てられた事をハッキリと認識した。
だが…お嬢は父を嫌いになる事が出来なかった。
父に対して冷たく接し返そうと試みたが、いざ父と顔を合わせてしまうとそんな感情はどこかへ飛んでゆき…
心の奥底から湧き上がってくる『この人に好かれたい』『この人に嫌われたくない』という感情に支配され、

「あっ、あの…お父様…私………」

つい父に媚びた態度を取ってしまう。
父には人を強烈に惹きつける力があった。その反面、お嬢には“取り巻き”はいたが友達と呼べる存在は全くいなかった。
そんなお嬢が父を失うという事は、全てを失ったといっても過言ではなかった。

(私、なんでお父様に似なかったんだろう?生まれる前にお父様から色んなモノを吸い取られしまったのかしら…)

そして、毎晩真紀の部屋から漏れ出す淫靡な声にお嬢のストレスは限界を超え始め、初めての恋人となる丸子龍一と出会うまでの間に最大で15kgも体重を減らしてしまったのだ…。


…お嬢は目の前で泣きじゃくる真紀を激しく睨み付けながら、父親と愛し合い、その愛情を失うまでの出来事を反芻した。

「ううっ…もうこれ以上…耐えられないの…」

父親の愛情を今でも独占し続けていながら『耐えられない』とうそぶく真紀への憤りを爆発させ、

「嫌っ…!痛いっ!お姉さま…」

お嬢は真紀の前髪を無造作に掴むと強引に顎を上げさせた。

「真紀っ…!言うに事欠いて『耐えられない』って何?今でもお父様に抱かれてるなんて事を私の目の前で堂々と口にしやがって…!『耐えられない』は私のセリフだよっ!どれだけ当て付ければ…どれだけ私を見下せば満足するんだっ…?」
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