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第10章 裁き10(最終回)、純愛という名のエンターテイメント

「死ねぇっ…玲子ぉっ…！」

事務所入り口のドアから数人の女たちがなだれ込むと、先頭の女が踊る玲子の背中へ体当たりをするように刃物で一突きした…！

「うっ…！あ…」
「れ…玲子っ…！」

背中のやや左側に包丁が突き刺さると、玲子は弱々しくその場にうずくまり…力なく床へ倒れ込んだ。
お嬢は玲子の元に駆け寄ろうとするが、

「うわあぁぁぁっ…！死ねぇっ…！」

別の女が逆手に持った包丁を振りかざしてお嬢に襲い掛かってきた。

「この野郎っ！」

咄嗟にお嬢は女の腰に横蹴りを放つと、

「あぁうっ…！」

よろけた女の手から滑り落ちた包丁を壁際まで蹴り飛ばした。

「誰だテメエらっ…！」

その勢いのままお嬢は女の喉仏を掴み、後ろに控えた女たち共々床へ押し倒すと、

「キャっ…」
「ひぃっ！」
「あぁぁ…」

女たちはそれぞれ弱々しい悲鳴を上げて床へ倒れ込んだ。
お嬢が事務所の照明を付けると、そこには…

「ア、アンタらは…？！」

玲子の背中に突き刺さった包丁を顔面蒼白で眺め、立ち尽くしている今野マヒルと…
床に倒れて泣きじゃくったりもがいたりして互いにもつれ合う、広瀬好海と野波真保と渡辺美樹の姿があった…。

「ウチらに人殺しなんかさせやがってぇ…！」
「彼を返してよぉ！殺してなんて頼んでなかったのに…彼を返せっ！」
「これからどうやって生きてけばイイのよぉ…！お前らも殺して私も死んでやるぅ…」

広瀬と野波と渡辺は金切り声をあげてそう喚き散らし、今野は顔から滝のような汗を吹き出し苦しそうに肩で息をしながらシャツの胸元を握り締めていた。

「玲子っ…！」

お嬢は玲子に駆け寄ると背中の包丁に触れぬように上半身を抱き起こし、スマホを手に取った。

「玲子…今“おじさま”にSOSを出したからすぐに誰か寄越してくれる筈だ…だからそれまで…」
「い、いや…いいんだ…私はもう…ダメだ…」
「そんな事言うなっ！やっと…やっと玲子と分かり合えようとしてたのに…」

お嬢はそう憤ると、闇討ちを企てた4人を激しく睨み付けた。

「そっ、そんな顔で見ないでよぉ…！」
「アンタらが…悪いんだからねっ！」
「自業自得よっ！わ、私のせいじゃないもん…」

4人はうろたえながら怒りを露わにするが、その顔には明らかな後悔の念が色濃く浮かんでいた。
その時…！