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純愛ハンター
第2章 裁き2、ブスになる魔法
「情なんてありません!イイ人ぶって幼なじみにつけ込むような奴なんかに…お願いします!私をこんな目に合わせたクズ野郎…二宮武を徹底的に追い込んで下さい!」

野波の啖呵に笑みを浮かべると、玲子はデスクに向かってノートパソコンをカタカタと叩きはじめた。

「…ねぇアンタ、アイドルと付き合いたいと思った事ない?」
「え?私みたいなブ…いえ、卑屈な女が…そんな事…」
「ふん…ブスが終わったら今度は卑屈?とことんネガティブな女だね…私は付き合いたいって思ったか聞いてんだよ!」
「ス、スミマセン…思った事は…あります…」
「そう?でもね、アンタのその願い…もう叶ってるのよ」
「どういう事…ですか…?」
「アンタはアイドルと付き合ってたんだ…それもとびっきりの国民的なアイドルグループのメンバーとね!」
「はぁ…」

全く話が見えない野波がキョトンとしていると、

「おいブスっ!」

玲子にそう呼ばれてビクッ!と肩をこわばらせた。

「もうすぐに、『ブス』なんて言われてもビクビクしないようになるよ!」
「ありがとうございます…」
「美人は美人に甘いんだよ。それもとびっきりの美人にはね…」

ようやく見せた玲子の優しさに、野波はわずかに玲子に対する親近感が湧いた。
玲子はプリントアウトした紙を手に取ると、お嬢へ手渡した。

「コレ“おじさま”にFAXよろしく」
「れ、玲子…ひとつだけ聞かせ…」
「お嬢!アンタはっ…!」

玲子の強い語気にお嬢が身体を震わせると、野波もソファから小さく跳ね上がった。

「…アンタはもう後戻りは出来ないんだ…分かるだろぉ?アンタの優秀な頭で考えたらさ?」
「だ…だけど…それは…」
「理解したらさっさとFAXしな!」
「…」

納得できない表情のまま、お嬢はスロープを小走りに2階の別室へと向かった。

(…玲子がしようとしてる事って…多分…どうしよう!止めなくちゃマズい…でも、どうやって…?)

玲子はお嬢の後ろ姿を一瞥すると、野波の肩にそっと手を置いた。

「復讐の決行は明後日の午前11時…アンタの協力も必要なんだけど、やってもらえる?」
「も、もちろんです!」
「イイ返事だ…アンタは卑屈で自己評価の低い女からすぐにでも卒業できるさ…」

玲子は左手首のブレスレットを爪先で軽く引っかくと、窓の外の街並みを鋭く睨み付けた。
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