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純愛ハンター
第6章 裁き6、1234包囲網
「まぁ…俺の両親の社会的地位を考えると、妊娠の事言ったら多分お前、退学になるんじゃねぇの?」
「えっ…そんな…」

退学を恐れた玲子はこれ以上一の瀬と話し合う事は危険と判断し、なけなしの貯金を崩して堕胎手術を決意するが、一の瀬は承諾書にサインをする事を拒否し続けていた。打つ手を失ってしまった玲子は、

「実はね…どうしても堕ろさなくちゃいけなくって…」

ダメ元でお嬢に頼った。
お嬢と丸子の仲を壊してしまった事もあり、お嬢に冷たくあしらわれる覚悟をしていた玲子だったが、

「何その男っ…?酷ぉい…!じゃあ、知り合いの先輩に頼んであげようか?」

お嬢は意外にも親身になってくれた。

「うっ…どうして…?私、緑にスゴく酷い事したのに…なんでそんなに優しくしてくれるの…?」
「私、実は…一時は玲子の事恨んじゃったんだけど…玲子の彼氏って分かってて丸子を誘惑した身でもあるし…お互い様って感じ?それに今は緊急事態だもん!ソレはソレコレはコレだよ…!」

玲子はそんなお嬢の優しさに、涙が止まらなくなった。
だがお嬢はそんな玲子のしおらしい様子に、笑いを堪えるので必死だった。

「コチラ、4年の二宮さん」

玲子はお嬢に4年生の二宮武を紹介された。
二宮は一ノ瀬と違って男臭さには欠けていたが、終始ニコニコしていて包容力のある印象に玲子は心からの安心感を抱いた。
承諾書にサインを貰った二宮に病院に付き添われた玲子は、堕胎手術を受けた。
だが、玲子は手術を受けて病院を後にした直後、

「う…あっ…い、痛い…!はぁっ…あ、くぅうっ…!」

尋常ではない下腹部の鈍痛に見舞われ、病院前の路上でうずくまってしまった。

「痛み止めが効いてなかったのかな?」
「ぐっ…ううぅ…分かんないです…痛み止めは明日まで効くって説明受けたけど…あぁ…うっ!」

実は…手術を行った医者は四ツ倉の知り合いであり、玲子は痛み止めの量を少なく見積もって投与されていたのだ…。

「僕の家すぐソコだから、とりあえず僕の家で休みなよ!」
「あぁ…はっ…!スミマセン…そうさせても…あうぅ…!」
「大丈夫?ほら掴まって!タクシー乗り場まで頑張ろう!」
「あ、ありがとう…ござい…いっ!ます…」

こうして玲子は、しばし二宮の家で心と身体を休める事となった。
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