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初メテノ夜ジャナクテ
第1章 1
 賢人くんは、細いけどしっかりした腕で私を抱き締めて、頭を撫でてくれた。
「これからは、俺がおまえを守るよ」
 顎の辺りに降りてきた手に優しく上向かされる。
「キスしていいか?」
「うん……」
 うなずいたら、薄くて柔らかい口唇が重なった。二人とも熱があるみたいに、触れ合った部分が熱い。
 これだけは覚えているけど、あの日、嘉村にはキスされなかった。だから今のが、私の人生で最初のキス。歯が当たるんじゃないかすごく心配で、実際ちょっと当たっちゃったけど、大丈夫。賢人くんも照れたように笑っていた。
「賢人く……」
 口唇が離れた後に呼んだら、抱き寄せられて、今度は胸に塞がれる。
「初めてじゃないからとか、俺は気にしないから。こんなに長いことりおのそばにいたんだし、もっと可愛い瞬間もいっぱい見てる」
 自信の滲む声が降ってくる。
 賢人くんは強い。
 私の左胸の辺りに触れながら、猫みたいにこつんと額をぶつけてくる。
「アイツのときはこんなふうにドキドキしなかったろ? 今が初めてなんじゃないの?」
 に、と笑った顏の少年ぽさにきゅっと心臓が高鳴る。
「おまえの心拍数の最高記録、俺が出してやるから」
 覚悟しろ、と優しく押し倒された。
 ピ、と電気が消える音がして、窓の外の夜と室内が溶けあったように感じる。
 賢人くんに脱がされて、身体中にいくつもキスをもらった。嘉村にされたときはぜったい、こんなじゃなかった。あのときはぜんぶの感覚が死んでたんじゃないかって思ってしまうくらい、何の記憶もない。
 二回目かもしれないけれど、覚えていないから初めてと同じだ。
 目をつむってもそっと開けてみても賢人くんがそばにいて、今まででいちばんきれいな顔をして私に夢中になっている。
「うれしい……」
 初めての夜じゃないのに、こんな幸せになっていいのかな。
 不安になって訊いたら、「なれよ」と返ってきた。
「何回でも幸せにしてやるから、俺との初めてを記憶のトップ画像にしとけ」
 囁かれたときに私の海に満潮が訪れて、賢人くんがその温かい内に入ってきたのが分かった。優しく確かめるようにゆっくりと深く、私の奥に溶け込んでくる。
 痛みと感動と、ちょっと大げさなくらいの多幸感。
「地球は青かった、とか、言いたくなるねっ」
 こんな気持ちにならなかった一回目はやっぱり、ノーカウントでいい。
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