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復讐の味は甘い果実に似て
第7章 割れない数字 ~恵梨の告白~
 窓の磨りガラスを通して、紅い夕日が見える。
 また、空虚で悲しいだけの一日が暮れようとしていた。
「信頼してない人とは一緒にいられないんだよ」という俊ちゃんの言葉が、また、わたしの頭の中で繰り返される。

 多分、俊ちゃんはギリギリまで、わたしを信じようとしてくれた。
 今になってみれば、あの復讐の話だって、わたしに本当のことを言って欲しかったんだと思う。

 だが、結局、わたしは本当のことを言うことができなかった。
 その結果、わたしは、あんなに暖かく自分を愛してくれた人を、復讐鬼にしてしまった。
 そして、自分を信じてくれた明日香やひかるまでも、失ってしまった。

 わたしはどうしようもない嘘つきで、尻軽で、クズな女だ。
 
 わたしは俊ちゃんに、愛を求める資格なんかない。
 俊ちゃんの肌の温もりや、わたしに向けてくれた笑顔も何もかも、わたしのような馬鹿な女にはもったいないものだったのだ。
 
 心の底から、そう思ってしまいたかった。
 
 堕ちたい。
 
 どん底まで堕ちて、自分で自分が、嫌になってしまいたい。
 そうなれば、わたしは、自分が俊ちゃんにふさわしくないのだ、ということを身をもって知ることができるだろう。
 
 そうする以外に、わたしが俊ちゃんを諦める術はない。

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