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復讐の味は甘い果実に似て
第3章 復讐への階段 ~明日香の告白~
 そして、5日が経ち、わたしとひかるに新田さんから最初の指示があった。
 この間のカフェに13時に来てくれ、という簡単なメールだ。
 わたしとひかるはサークル棟で待ち合わせて、例のカフェに向かう。

 すでに、カフェの二階のスペースには新田さんが座って、コーヒーを飲んでいた。
「時間通りで助かる。この店は、込み入った話をするのにはいいんだが、肝心のコーヒーがうまくない。」
 新田さんはそういうと、わたしたちをテーブルの向かいに座らせた。
「恵梨への復讐に向けて、今から、君たちにお願いすることが3つある。」
 ああ、やっぱり本気なんだ、とわたしもひかるも顔を見合わせた。
 
 わたしたちにはまだ、心のどこかに、復讐なんてただの脅しで、実際にできるもんか、という甘い期待があったのだ。
「改めて言うが、君たちは僕の復讐の道具だ。道具には指示通り動いてもらう。」
 やはり、この人はもう引く気はないのだろう。とりあえず、聞くしかない。

 新田さんはバッグからファイルシートを取り出すと、わたしとひかるに、一枚ずつ紙片を渡した。大学のある駅から5駅ほどはなれたところにある産婦人科の資料だ。

「1つ目の指示だ。君たちには復讐の日まで、低用量ピルを服用してもらう。」
 いきなりのとんでもない指示に、わたしもひかるも思わず絶句した。

「……あの、新田さん、本気で言ってるんですか? コンドームもつけない気ですか?」
 しばらく間をおいて、ようやくわたしは新田さんに問いかけた。
 奥手なひかるは真っ赤になって俯いたまま、固まってしまっている。

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