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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第6章 エロ芝居?それはないぜ
≪新しい仲間は芸者の雪乃≫

「有田ちゃん、こっちよ」

今夜は小鹿大樹にお礼するため(と言っても、彼から小料理屋に招かれているのだが)、久美子と池袋で待ち合わせしていた。

「いやあ、すみません。お待たせしちゃって」
「私も来たところよ。ねえ、吉田さん、どうだった?」
「はあ、それはもう…」

午前中、有田は吉田社長のところへお礼に伺っていた。

「いやいや、私は君の誠実なところが気に入っていたんだ。近頃は仕事の話しかしない輩が多い中、君は経済の話だけではない。音楽の話やダンスの話など、話題が豊富だ。なにより堂々としている。『お金下さい』なんてことは口にも、顔にも出さない」
「いえ、私はそんな社長が褒めるような人間ではありませんが」

ママが言ってた通り、吉田社長は本当に榎本課長が嫌いなようだ。有田が口ごもっていると、吉田社長はぎゅっと手を握ってきた。

「謙遜するところが、君のいいところだ。そういう君だから、私は1対1で付き合いたいと思ってね。ははは、こんなジジイだが、よろしく頼むよ」
「あ、いえ、こちらこそ」

こう言って、吉田社長は多忙にも関わらず、1時間も時間を割いてくれた。

「よかったじゃないの」
「いや、これも久美子さんと小鹿さん、それに今日はいないけど、河口さんのお陰です。どうもありがとうございました」
「私は何もしていない。お礼はダンナに言って」

待ち合わせの小料理屋は駅から歩いて10分も掛からないが、着物に草履の久美子を歩かせる訳にはいかない。タクシーで410円。そこは普通の民家のような造りだった。

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