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レディー・マスケティアーズ
第10章 ポルトス&ダルタニァン ――パークサイド・パレス
 たまらなくなったのか、田野倉はさっきからドアに耳をつけて、二人の狂態に想像を膨らませていた。
 あの彩也子が、首を絞められるのも好きだったとは……。自分もまだ開発していない部所だった。今度は、おれも試してみるか。
「あっ、ああっ、ダメ!」
「うっ、ううん。出すぞ。おまえの中に、おれの毒液をぶち込むぞ!」
「おおっ、おおっ、おっ。いくう!」
 狼の遠吠えのような叫びが響く。女が絶頂を迎えたようだ。
「おっ、女がいったな」
一物をしごく田野倉と浩一の手の動きが速まる。
「さっ、彩也子のやつ。「たっ、たまらん。うっ、うっ」
 声を発すると、田野倉のほうが先に、リビングの絨毯に白い欲液を撒き散らした。部屋の中にすえたチーズの匂いが立ち込める。ええっ、次はおれの番だっけ? いや。さっきジャンケンに負けたから、おれは浩一の次か。
 それより、おかしいぞ。いつもなら長く続く彩也子の叫び声が突然途絶えた。隣の部屋はしんと静まり返ったままだ。
「ん? どうしたのかな」
 ドアが乱暴に押し開けられ、耳を押し当てていた田野倉が弾き飛ばされた。
 ドタドタと足音を立てて戻ってきた木庭茂は、真っ青な顔をしている。腰にタオルも巻かず、素っ裸のままだ。
「せっ、専務。どっ、どうしたんですか」
 尻もちをついたままの田野倉の問いに、茂はしばらく答えられなかった。泡を吹いたように、だらしなく口を開けている。
「女が……死んだ」
 バリバリ、バリーッ!
 その瞬間、室内の電気がすべて消え、窓の外で雷鳴がとどろいた。
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