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独占欲に捕らわれて
第6章 契約期間開始
洗面台に行くと、紅玲は背中を鏡に映した。痛々しい引っかき傷がたくさんついており、1番大きな傷口からは、1筋の真っ赤な雫が垂れ落ちている。
「まさかここまでなってたとはね……」
滴る血を指で拭うと、ペロリと舐めて口角を上げた。
「これはこれで、愛だよね」

紅玲は上機嫌に鼻歌を歌いながら、浴室に入る。大きな檜風呂には、既に湯が張ってある。手を突っ込んでみると、すでにぬるま湯と化している。
「女の子ってお風呂好きだからなぁ……。きっとチサちゃんも、楽しみにしてたんだろうね」
紅玲は小さく呟くと、栓を抜いた。ゴポゴポと音を立て、ぬるま湯が吸い込まれていく。

シャワーから水を出して熱めのお湯になると、いきなり傷口にかけた。痛みのあまり声を漏らすが、紅玲は笑っている。
「これ見たら、チサちゃんはどんな顔するかな?」
今度はスポンジを泡立てると、背中に腕を回して傷口ごと洗った。

ひと通り躯を洗い終えた紅玲は、風呂に栓をして湯沸かしボタンを押す。
ベッドに戻って襦袢を羽織ると、流れるお湯の音を聞きながら、まだ眠っている千聖にも襦袢を着せようとする。

「そうだ……」
なにかを思いついた紅玲はイタズラっ子の様な笑みを浮かべると、恥骨の部分に唇を寄せる。
「気づくかな?」
そう言って柔らかな肌に吸い付いた。静かな部屋に、リップ音が響き渡る。

「うん、綺麗についたね」
紅玲はつけたばかりの所有印を、満足げに指を這わせる。
「んっ……」
千聖は小さく声を漏らし、身動ぎをする。

「ごめんね、チサちゃん。まだ寝てていいからね」
紅玲は優しく話しかけながら、今度こそ襦袢を着せた。
「お風呂沸く頃に、起こしたげるね」
囁くように言うと千聖の髪にキスをして、彼女をそっと抱きしめた。

15分もすると、お湯の音が止まる。
「ちょっと可哀想かな……? チサちゃん、起きて?」
紅玲は千聖の肩を揺らしながら、声をかける。
「うー……」
千聖は眉間に皺を寄せて唸るが、起きる気配はない。
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