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独占欲に捕らわれて
第6章 契約期間開始
「あっはは、意外と寝起き悪そう。チサちゃん、はやく起きて?」
さっきより大きな声で揺するが、千聖はうーうー唸るだけで、起きる気配がない。

「しょうがないなぁ……。お目覚めのキスが必要かな?」
紅玲はそっと、自分と千聖の唇を重ねる。激しいディープキスをしようと、舌先で千聖の唇をつつくと……。
「んんっ!?」
千聖は目を見開き、紅玲を勢いよく突き飛ばす。

「うわぁっ!?」
紅玲は後ろに倒れた後、横に転がりベッドから落ちてしまった。
「いったた……。おはよ、チサちゃん」
起き上がってベッドに肘をつくと、紅玲はにっこり笑って千聖を見上げる。

「おはよじゃないわよ! なにすんのよ、バカ!」
千聖は顔を真っ赤にして、枕を構える。
「ちょっと、この距離で勢いよく投げられたら絶対痛いんだけど……」
「知らないわよ、このキス魔!」
千聖が勢いよく枕を投げると、見事に紅玲の顔面に入り、彼は奇妙な声を上げてまた倒れた。

「容赦ないなぁ……。揺すりながら声掛けても起きなかったんだから、キスで起こすしかないでしょ」
「その思考回路は理解できないわ……」
当然と言わんばかりに言う紅玲に、千聖は頭を抱える。

「あっはは、そのうち理解できるって。そんなことより、お風呂沸いたよ」
「え?」
一瞬言葉が理解出来ず、キョトンとする。
「お風呂、入りたかったんだよね? あの後気絶しちゃったから、ぬるくなってたけど、入れ直しといたよ」
紅玲に説明され、ようやく意味を理解した千聖はベッドから降りた。

「それはありがとう。さっそくひとりでゆっくりしてくるわ」
「あっはは、わざわざ言わなくても、邪魔するつもりはないよ。オレはシャワー済ませたしね」
「そう、それはよかった」
ヘラヘラ笑いながら手を振る紅玲に見送られながら、千聖は浴室へ行く。

檜の香りが広がる浴室は、あたたかい空気で満ちている。お湯が張られた湯船に手を入れれば、少し熱いくらいだ。
「意外と気が利くのね」
千聖はお湯を自分の躯に一通りかけると、湯船にそっと、自分の躯を沈めた。
「はぁ……極楽……。まさか檜風呂があるラブホが存在するとはね……」
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