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独占欲に捕らわれて
第6章 契約期間開始
「実はね、この前うちのバカ兄貴が借金したって連絡来たの」
「え!? それ、ここでしない方がよくない? カラオケ行こ、カラオケ」
優奈は一気にカシオレを飲み干すと、勢いよく立ち上がった。だが目眩を起こし、再び座る。
「もう、お酒飲んだのにいきなり立ち上がるからよ……。でも、気遣いありがと。カラオケ行きましょうか」
千聖は泡盛を飲み干すと、優奈に肩を貸しながら店を後にした。

近くのカラオケ店で優奈にお冷を飲ませたところで、ようやく話せる状況が出来上がる。
「えっと、お兄さんが借金したって?」
「そう。それも闇金にね……。1万円だけ借りたらしいんだけど、あいつらの悪知恵で100万円になっちゃって……。しかも利子が1日1万円とか、馬鹿げた金額でさ……」
「はぁ? なにそれ……。それで、お兄さんどうしたの?」
優奈は前のめりになって、真剣に話を聞こうとする。

「それが行方不明だってさ……。まぁ今は家にいるかもだけど、お母さんと実家の電話番号ブロックして削除したから、もう知らない」
「うんうん、それがいいよ」
力強く首を縦に振る優奈に、千聖は嬉しくなる。

「仕事終わりにいつものところででアイス食べてたら、お母さんから連絡が来てたの気づいてさ、それで借金のこと知ったの。それで動揺してるところに、アイツが来てね……」
「アイツって、紅玲くん?」
「他に誰がいんのよ……。まぁいいや。それで合コンの時にお金稼いでるアピールしてた気がしたから、利用しようと思って相談したの。そしたら今日、借金返してくれたの。……その代わり、1ヶ月間アイツのセフレだけどね……」
千聖はうんざりしたように言うと、お冷をひと口飲んだ。

「へぇ……。にしても、1万円だけ借金するっていうのもずいぶん変な話じゃない? 何したんだろう?」
「さぁ? バカの考えなんて分かりたくもないし、どうでもいいわ。そんなことより、歌いましょ」
千聖は気持ちを切り替えるように明るい声音で言うと、十八番の曲を入れた。深夜2時までカラオケをして解散すると、千聖はようやく帰宅した。

「久しぶりに優奈振り回したかも……。まぁいっか、いつも振り回されてるし」
千聖は独り言を言うと、シャワーを浴びて眠った。
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