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独占欲に捕らわれて
第6章 契約期間開始
翌日の日曜日、紅玲からもパパからも連絡がなく、千聖は久しぶりにゆっくりした1日を過ごした。午前中には掃除と買い物、午後はサスペンスの再放送を見ながら、紅茶を飲んでいる。
「平和だわ……」
千聖が呟くと、インターホンが鳴った。

「誰かしら?」
玄関を開けると宅配業者の男性が、箱を持って立っている。
「どうも、綾瀬千聖さんのお宅で間違いないですか?」
「はい」
「こちら割れ物なので注意してくださいね」
箱を受け取ると、ずっしりしている。業者は一礼してその場を去った。

「なにかしら?」
リビングに持って行って送り主を確認すると、優奈からだ。箱を開けると、2本のボトルが並んで入っている。ボトルの間には、メッセージカードが挟まっている。カードには“遅れてごめんね。合コンのお礼”と書かれている。
「そう言えば、そんな約束してたっけ」
千聖はさっそくテキーラを開けて、お酒を楽しみながらその日を終えた。

水曜日、千聖はパパと食事をしてホテルに行った。翌日も仕事があるため、セックスとシャワーが終わると現地解散してひとりでホテル街を歩く。
(コンビニでなんか買って、宅呑みしようかな? とりあえず日本酒でしょ。あと、ワインと……)
「あれ? 千聖さん?」
宅呑みの計画を立てながら歩いていると、若い男性に声をかけられた。髪をワックスで遊ばせ、黒と青で統一されたラフな服装は、どこか紅玲に通づるものがある。柔らかい雰囲気のある整った顔をしているが、見覚えはない。

「どちら様?」
千聖が怪訝そうな顔をすると、男性はあぁ、と思い出したように声を出すと、ポケットからメガネケースを出してメガネをかけた。千聖にもようやく、彼が誰なのか分かった。
「あなた、この前の合コンの……名前は忘れたけど」
「斗真です」
斗真は苦笑しながら答えた。

「なにしてんの、こんなところで」
「あなたと同じですよ」
そう言って斗真は、茶封筒を振って見せると、ポケットに入れた。
「金持ちの熟女抱いてきたのね」
千聖がストレートに言うと、斗真は吹き出した。

「オブラートに包まないんですね、面白いからいいですけど」
斗真はクスクス笑いながら言う。第一印象とかけ離れた彼を、千聖は不思議そうに見る。
「なんだか意外ねぇ……。結構堅物な人かと思ったのに。そうだ、敬語なんてよしてよ。どうせ歳近いんだし」
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