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官能小説家のリアル
第1章  新しい仕事


 体位や喘ぎ声。ストーリーによっては、過激なほどいい場合もある。
 時には、緊縛やバイブも効果的。オシオキというのもけっこう人気があった。
 現実ではやりづらいことが、“小説”という物語だからこそ生きる。
 特に“ファンタジー”という分野でなくても、“小説”そのものが“ファンタジー”。
 日常に無いものを、読者は欲しがっている。
「あんっ、あぁっ」
 奥深くまで激しく突かれ、本当に何も考えられなくなっていく。
「あっ、直、哉っ、んんっ」
「美波っ」
 直哉の声が、美波を一層現実へと戻していく。
「はぁっ、あんっ、んっ」
 グチュグチュという卑猥な音が自分にも聞こえ、美波は全身が熱くなる。
 もっと長く愛し合いたいが、今日は時間が無い。それを分かっている直哉は、わざと激しく攻め立てる。
 直哉も、彼女を長く愛し続ける自信はあった。時間が取れない時は、美波が早くイくように責め続ける。
 不満というほどでは無いが、最近はそんな日も数少ない。
「あっ、あぁっ、はんっ、直、哉ぁっ、あんっ」
「いいよ? イって……っ」
 その言葉に煽られるように、美波は彼の背中へ腕を回す。
「あんっ、ヤぁっ、はぁっ、んんっ、直哉っ! あぁっ……」
 美波の体の震えを感じ、彼も放出した。
 朦朧する美波の手が、シーツへと落ちる。
「はぁっ……。んんっ……」
 まだ甘さを残す息遣いを聞きながら、直哉は弛緩した美波の体を抱きしめた。


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