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官能小説家のリアル
第1章  新しい仕事


「みなみさん。お疲れ様です。どうぞ」
 言葉と同時に差し入れを渡してきたのは、雑誌Rの担当の小林。雑誌の後ろの方で参加スペースを告知させてもらうため、連絡してあった。
 そうでなくても、参加者全員の名前とスペースの載った分厚いパンフレットが事前販売される。
「さすがに凄いですね」
 小林が列を見て言う。
「そろそろ、参加をやめようと思ってるんです……」
 美波は、小林の耳元で言った。
「そうですか……」
 同人誌はあくまでファンサービス。
 印刷代や参加費などの諸費用を考えると、儲けは殆どない価格設定。
 続けたいとは思うが、仕事との両立が難しくなってきた。
 イベントは、“出る”だけではない。そのための新刊の準備。翌日は疲れて仕事にならない。その分商業でいい作品を書いた方が、と美波は思ってしまう。
「では。またご連絡します」
「はい。ありがとうございました」
 小林が帰ると、本を買った女性が来た。
「みなみ先生ですか?」
「はい……」
 何故かファン達はみんな、“先生”と呼ぶ。
 売り子をやってくれている二人は、「みなみ先生は?」と訊かれれば、美波の方を示す。
「いつも、楽しみにしてます。応援してます。頑張ってください」
 恥ずかしそうに頭を下げ、女性は行ってしまう。
 もうサイン本は売り切れている。サインしてあげたいとは思っても、一人にすれば収集が付かなくなってしまう。
 そんな思いをするのも苦しくて、美波は参加をやめようと考えていた。
 その後雑誌の担当者が何人か来て、差し入れを渡して帰って行く。
 帰ると言っても、何人もの作家を抱える担当者達は、担当作家全員のスペースを回らなければならない。両隣も人気作家のスペースで、次々とスーツ姿の者が訪れていた。



 昼過ぎには残り十冊を切り、買いに来る客もまばらになる。
「やっと休めるー」
 華が声を上げる。
「煙草吸いに行っていい?」
 由香里の言葉に、美波は笑顔で頷いた。
「みんなありがとう。もういいよ? 買い物に行っても」
「交代で行ったから大丈夫。美波こそ休みなよ。対応で疲れたでしょう?」


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