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官能小説家のリアル
第2章 悩み

美波の本が完売して片付けの後スペースを出て、打ち上げは四時間くらい。大人の美波にとって、そう遅い時間でもない。
「イベントだって言ってあったよね? その後カラオケ屋で、いつもの打ち上げ」
話しながら一緒にエントランスを入り、部屋へ行った。
「打ち上げって、誰と?」
鍵を開けて部屋へ入ると、直哉が不満そうに訊く。
「どうしたの? 桃と、その友達。いつも、スペースを手伝ってくれる子達だよ?」
会ったことはないが、美波はいつも桃恵や他の子のことを直哉に話している。
「ホントに?」
「本当だって。どうしたの? 変だよ?」
打ち上げにいくのもいつものことだし、一昨日会った時にも言ってある。ほんの少しお酒は呑んだがそれもいつものことで、全く酔っていない。
そう考えながら、美波は彼を見上げた。
「ん……」
納得がいかないという表情をしながら、直哉がリビングに座る。
「シャワー浴びてくるね」
「美波? 帰ってきて、いきなりシャワー?」
そう言われ、美波が溜息をつく。
「イベントで汗だくだったの。会場は暑いから。濡らしたタオルで拭いて、香水で誤魔化してたけど、店の人は汗臭いと思ったんじゃないかなぁ 汗臭くない?」
説明した通りにした上、他のみんながいたからあまり気にしなかった。でも帰りの電車では一人。汗臭いよりはと、臭いくらいに香水をかけてから乗った。
「だって……。先々週から、全然、してないじゃん?」
セックスのことだと気付き、美波は直哉の方を向いて座った。
「先々週は、生理だって言ったでしょ? 先週は、イベントのために、仕事を上げるのに必死だったの。信じてくれないの?」
「ホントに?」
美波は彼のことを、年上で大柄なのに、こんな時は子供みたいだと思ってしまう。
「本当だから。じゃあ、シャワー浴びたら、ね……」
「んっ」
やっと納得した様子の直哉に缶ビールを出してから、美波はシャワーを浴びに行った。
深いキスを交わした後、彼の唇が美波の肌を這う。
「はぁっ……。んっ……」

