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官能小説家のリアル
第2章 悩み
すぐに直哉も放出し、まだ呼吸の整わない美波を抱きしめる。
「美波……? 一緒に、暮らさないか?」
美波も、その言葉は嬉しい。
でも自分は、彼に何もしてあげられない。生活リズムが違えば、同じ場所にいてもすれ違いになるだけ。美波は、その方が溝が出来てしまうように思えた。
明け方に寝る美波は、朝会社へ出る彼を見送れない。夕方から仕事を始めるせいで、食材の買い物へ行ったり、食事を作って待っていることも出来ない。
まず、美波は大学在学中にデビューしたせいで、家事というものを殆どしないまま実家を出た。
夜ずっと彼がいても、美波はそこからが集中しやすい時間。毎日、仲良く一緒にテレビを観るのも難しかった。
「考え、させて……」
やっとそう言ってから、彼の胸に顔を埋める。
昼間会社に行っている直哉は、美波の昼の様子を知らない。話してはいるが、昼夜逆生活の二人が一緒に暮らしても、いずれ不満が出るはず。
そう思いながら、美波は目を閉じたままでいた。