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官能小説家のリアル
第2章 悩み
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
美波が目を覚ますと、リビングからテレビの音が聞こえてきた。
昨夜のことを思い出しながら、リビングへ行く。
「美波、おはよう。眠れた?」
直哉は、いつもの無邪気な笑顔。
美波は、何故かそれにホッとする。
昨夜は何度もイかされた。最後には動く気力も無くなり、いつ寝たのか覚えていない。
小説ではよくそんなシーンを延々と描くが、実際だと体が持たないだろうと思ってしまう。
特に昨日はイベントもあったせいで、少し体が痛い。
「今日も泊ってっていい? まだ、盆休み中だし」
「うん。いいけど……。食事、どうする?」
23歳まで実家暮らし。暇があれば小説を書いていた美波は、家事全般が苦手。
全てを母親に頼るのが悪いと思ったのも、実家を出た理由の一つ。
普段の掃除や洗濯なら何とかなるが、ここに越して来てから半年に一度は、水回りを中心に専門業者に頼んで大掃除をしてもらっている。
食事はデリバリーか、マンションの隣にあるコンビニ。どちらも種類が豊富で、飽きることはない。
「何か頼む? メニューなら、これ」
美波はラックに差してあった束になったチラシをテーブルに載せた。
洋食や中華に和食。その他の国の専門店のものもある。
「いつも、こういうの喰ってんの? 高くつかない?」
「でも、時間無いし。料理、苦手だし……」
美波がそう言っても、直哉は気にせずチラシを見ている。
「へえー。ペルー料理かあ。喰ったことないなあ」
「それにする? 結構、日本人好みに寄せてあるよ」
美波は彼の横に座り、チラシを覗き込んだ。
「んー。オレ、作ろうか?」
「作れるの?」
「たまに自炊もしてるから。節約のために。手っ取り早いなら、カレーかな。得意だし、サラダを付ければ栄養バランスもいいし」
直哉が立ち上がる。
「美波は、シャワー浴びるだろう? その間に、材料買ってくるから」
そう言うと、直哉は財布だけを持って出て行ってしまった。
歩いて十分の駅前には、大きなスーパーがある。