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官能小説家のリアル
第2章  悩み


「起きてすぐ、カレー……」
 呟いたが、作れない身で文句は言えない。そう思い、美波は風呂場へ行った。



 買い物から帰った直哉は手際よく野菜を切り、何事もなくカレーを作る。彩りの良いサラダまで。
 それが普通だが、美波は包丁が怖い。恐怖症ではなく、もし指を怪我したり火傷をしたら。
指は美波にとって、商売道具と言ってもいい。パソコンが打てなくなったら、仕事が出来なくなってしまう。
「食べよう? いただきまーす」
「いただきます。……美味しい」
「カレーなんて、誰が作っても美味いって。市販のルーなんだから」
 直哉が笑っている。
「美波。アレ、本気だからさ……」
「アレって?」
 美波が訊くと、直哉が苦笑した。
「一緒に暮らしたいって話。オレ、真面目に考えてるからな」
 真剣に言ってから、直哉はカレーを食べている。
 付き合って半年くらいの時、彼は美波の実家へ一緒に行った。「付き合ってる挨拶はしたい」と言う直哉の希望で。
 美波の両親は明るくて堅実な仕事の直哉を気に入り、人見知りしない彼と話が弾んでいた。
 後から美波が電話した時には、母親に結婚について訊かれてしまうくらい。
 美波の28という年齢では、結婚している友達が半分以上。新婚が多く、ここ数年で二度披露宴に出席し、三回祝電を送った。
 一緒に暮らすということは、いずれ結婚に繋がるだろう。でも、今の美波は結婚に興味が無い。
 自立している女性の多くと同じように、“一人で大丈夫”という思いから。
 彼女の年収は、ボーナスもある直哉を上回っている。仕事に忙しくしていると使い道もそれほど無く、貯金へと回していた。
「美波? オレのこと、好き?」
 スプーンを置いた直哉に見つめられ、美波はすぐ頷く。
「だったらさあ……。ずっと、一緒にいたいと思わない?」
 そう言われると、美波は心苦しくなる。
 好きなのは本当だし、一緒にいたいとも思う。でも、暮すとなると色々な制約も出てくるだろう。美波が考えるのは、やはりそのことについて。


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