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官能小説家のリアル
第2章  悩み


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 イベント参加の一週間程前から疲れていたのに、その晩はそのまま眠ってしまうほどのセックス。
 それほど直哉を不安にさせてしまったと思い、彼が泊った二日目には二人でテーマパークへ来た。
 久し振りの外でのデートに、直哉はやたらと楽しそう。そんな彼を見ていると、美波は申し訳なく感じてしまった。
 美波が本格的に小説を書き始めたのは、高校時代。元々インドア派で、それ以前も本を読むのが好きだった。たまにはゲームもする。
 そんな彼女とは対照的で、直哉はアウトドア派。少年時代は地元の野球チームに入っていたし、高校ではサッカー。大学ではサークルだが、フットサルをやっていた。
 美波はそんな彼から取材として話を聞くこともあり、直哉も楽しそうに話してくれる。
 共通の趣味と言っていいのは、ゲームくらい。
 社会人になった直哉はメンバーも集まりづらくなったこともあり、現在はスポーツから縁遠くなっている。
 いくつかアトラクションに乗った後、二人はレストランで休んでいた。
 ここへ入るのにも、一時間待ち。それでも、二人でいれば退屈はしない。
「美波は、盆休みとか無いの?」
「無いよー。自分で調整するだけ。来た仕事を断れば、次にもらえるか分かんないし」
 それがフリーランスのつらいところ。
 今のような状態も、いつまで続くか分からい。それもあり、美波は時期をズラしてもらってでも仕事を受けている。
「今日も、ホントは仕事があった?」
「ん……。推敲(すいこう)が一つと、校閲(こうえつ)から戻って来次第かなぁ……」
 こんな楽しい場所で仕事のことは忘れたかったが、美波も訊かれると思い出してしまう。
「スイ、コウ? 校閲は、聞いたことだけあるけど……」
「推敲は、仕上げた原稿の見直し。書き直したり、書き足したりもするし」
 直哉は興味深げに聞いていた。
「校閲からは、紙原稿が送られてくるの。赤字で、誤字脱字を直されたり、近い場所に同じような表現があるのも、指摘してくれたりね」


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