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官能小説家のリアル
第3章 決心

でもいざ何も浮かばないとなると悩んでしまい、解決策を見つけてしまった。
緊縛なら書けると思い、男女だということを忘れるなんて。
今更引けない。美波は決心するしかないと思った。
飯野がメモを取っている雰囲気は、美波にも伝わっている。
雑誌掲載に契約書は無いが、これはもう執筆契約と同じ。
溜息をつきながらも、美波は浮かんだことをノートに書きなぐった。
それから数時間で、一応のプロットが仕上がる。
まだ手直しはいるが、ストーリーとしては美波も満足していた。
ただ、セックスシーンが多い。
緊縛となると、最初は無理矢理。それが続きそのうち普通になり、終盤には緊縛無しではセックスした気にならなくなる。
そのため、調教のようなセックスを多く入れなくてはならない。
まず、女性には乳房がある。主人公になる女性なら、スタイル抜群で乳房も大きいはず。そんな立体的な体を、どうやって縛るのか。
ネットで調べるしかなった。
BLの時も調べたが、それから五、六年経っている。
探すとサイトはたくさんあり、SMグッズを扱う店まで。
店の品揃えを見ると、縄以外にも使えそうなものが沢山あった。一応そのサイトをブックマークしてから、一度パソコンを閉じる。
夏は日の出が早い。さすがにもう寝ようと思い、美波はベッドへ入った。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
「こういうのに、興味あるんだ……」
パソコンで緊縛に関するサイトを見ていた時、直哉に覗き込まれてしまった。
「ち、違うの。仕事の、資料として」
直哉がいる時はいつも、セックス関連のサイトは見ない。でも、風呂に入っている隙ならとつい見てしまった。
「いいよ。試してみる?」
「え……?」
直哉が、荷造りに使う細い紐を持ってくる。
「ちょ、ちょっとっ。ヤっ」
「美波は、イイときも“ヤっ”て言うよなあ?」
そう言いながら、直哉は手際よく美波を縛っていく。充分な経験があるように思えた。
「実際にやった方が、リアリティあるだろう?」
完全なリアリティなど、読者は求めていない。BLはある意味ファンタジー。と考え、美波は男性向けの男女のセックスシーンだと思い出した。

