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官能小説家のリアル
第1章 新しい仕事

そこでお互いに気に入り、連作先を交換してからたまに会うように。その数ヶ月後、直哉からの申し込みで付き合うことになった。
178cmと長身の割に可愛いとも言える童顔で、無邪気な振る舞いも多い。そんなところに美波は癒しを感じている。
美波は平均的な160cmで、丁度いい身長差だと思っていた。
「ご飯半分食べる?」
「んっ。サンキュー」
直哉は30歳だが、まだ食べ盛り。美波が残した他のおかずも平らげてしまった。
商社の経理課だが、昼食もかなり食べていると聞いたことがある。それで太らないのが、美波には羨ましい。そう思っている美波も、充分すぎるほどスタイルはいい。
「まだ仕事?」
「うん。今のを少し進めたら、新しいプロット」
「プロットって、何だったっけ?」
直哉に以前説明したが、美波は食後の紅茶を飲みながらまた説明を始める。
「小説の骨組み。登場人物の説明と、最初から最後までのストーリーをザッと書くの。小説の軸で命かな。本文は、その通りに書いていけばいいから」
「ふーん」
直哉は興味深げに聞いていた。
「A4用紙一枚だと、小説全体は400字詰め換算で100Pくらい。そういう目安にもなるしね」
「400字って、学校で使ってた原稿用紙だろう? それを100枚も書くの?」
直哉は本気で驚いている。
「雑誌だと120枚前後で、新書書き下ろしだと、その倍かなぁ」
「美波って凄いことしてるよなあ。オレには絶対ムリ」
直哉が溜息をつく。
美波は、直哉に小説の内容も話してある。BLなど敬遠されるかと思ったが、「何にしろ、小説家なんて凄い!」と受け入れられた。
「忙しい? 時間無いの?」
甘える様な言い方に、美波は首を振る。
二人共同じ思い。
毎日会えるわけではない。お互いの仕事が忙しくて、すれ違いが続く時もある。こうしてコンビニ弁当を買ってきてくれても、美波が忙しいと直哉は美波の分を置いて帰って行く。
そうやって気を遣い合えるから、一年続いた。
「今日は平気。締め切りまでまだあるし」
それが合図になり、二人は仕事場部屋にあるベッドへ向かう。

