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官能小説家のリアル
第5章  関係


「間に合いそうで良かったです」
 美波は心からそう感じている。
「全て上がったらですが、次の打診をしてもよろしいですか?」
「その前に、掲載後の反応だと思いますけど……。男性に、受け入れられるのか……」
 それが一番の不安材料。
 書き上げれば、作家にもう何も出来ない。後は結果を待つだけ。
 雑誌に付けられている読者カード。読者からすれば何気ない存在でも、作家にとっては生命線。
 その評価で毎回順位が付けられ、最下位が多い作家は淘汰されていく。
「大丈夫ですよ。僕が見込んだんですから」
 飯野が笑う。
「あ。どうぞ」
 順番が来て美波がタクシーへ乗る。
「今日は、ありがとうござ……。えっ?」
 挨拶をしようとすると、飯野も乗り込んで来た。
「送ると、言いましたよね」
「はい……」
 ドアが閉まり、タクシーが走り出す。
「マンションに押しかけたりしませんから。住所は、名刺で知っていますが」
 美波の名刺は、PNがある以外普通の会社員の物と変わらない。
「ネット用の人物紹介は、こちらで作成しておきます。チェックして頂いてOKが出れば、すぐ公開します」
 今回初めてなのは、“ネット連動”もある。
 上手くいけば、興味を持ってもらえる。でもその時点で無視されれば、本編は読んでさえもらえない。
「大丈夫です。今までは、殆どの作家さん達がいい結果を生んでいますから」
 そう言われると、美波は益々不安だった。
 “殆ど”の作家がいい結果。それは、決して全員ではないという意味。その、残りの方になってしまったら。
 それが、BL作家という立場に影響を及ぼすかもしれない。
 そう考えると美波は、成り行きでも決意してしまったことを後悔した。
 口数も少ないままマンションの前に着き、タクシーを降りて頭を下げる。
「ありがとうございました。おやすみなさい」
「また、会って頂けますか? 個人的に」
 飯野も一度タクシーを降り、街頭の下で美波を見つめる。その真っ直ぐな視線から、美波は俯くことで目を逸らした。
「あの、私……」
「美波!」
 聞こえたのは直哉の声。
「直哉……。どうして……」


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