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官能小説家のリアル
第5章 関係
「やめてっ」
「オレが嫌なのかよっ!」
こんな状態で、犯されるようなセックスは嫌だった。自分が悪いとしても、せめて理由を聞いて欲しい。そう思いながら、美波は初めて見る直哉の豹変に動けなくなる。
直哉は本当に悔しそうな表情。美波はそれを見るのもつらかった。
スラックスと下着だけを降ろした直哉が、愛撫も無しに挿入してくる。
「ヤっ、痛っ……」
抵抗しようとしても、下半身が抑えつけられていて逃げられない。
違和感しかないセックス。
美波が顔を向けると、直哉は泣いていた。悔しそうだった表情は、悲しみへと変わっている。それを見て、美波は抵抗を諦めた。
甘い声も囁きもなく、淡々と行われる行為。
美波はその間、体より心の痛みを感じていた。
暫くして放出した直哉は、何も言わずに部屋を出て行く。
「直哉……」
呟いた美波の瞳から、涙が溢れた。