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官能小説家のリアル
第5章 関係
「いいえ。ありがとうございました」
桜子が訊こうとしたのは、「恋人はいますか?」。
手を見たが、どこにも指輪は無い。
パーティーで35歳と聞いたから、自分にもチャンスはあるかもしれない。
恋人がいなければ、の話だが。
受付まで送ってもらう途中、桜子は思い切って訊いた。
「飯野さんは、恋人は、いるんですか?」
「いいえ。仕事ばかりで。両親に、早く孫をと言われるんですが。こればかりは」
桜子は、心の中でガッツポーズをする。
「何かあったら、相談に来てもいいですか?」
「僕がいる時なら。こちらからお伺いすることも出来ますので」
「はいっ!」
受け付けの前でお辞儀で見送られ、桜子は笑顔で帰って行った。