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官能小説家のリアル
第1章  新しい仕事


「大丈夫です。小林さんには、デビューからお世話になってますから」
 それは本当のこと。編集会議で小林が美波を選ばなければ、彼女は今、普通に会社員をしている可能性が高い。そういった縁を大事にするのもこの業界で大切なこと。
 実力もそうだが、この世界には運とタイミングと根性も必要。いくら実力だけがあっても、デビュー出来ずに諦める者も多くいる。
 それから少し雑談して、小林の支払いで店を後にした。
 打ち合わせの時のお茶代は、雑誌社の経費となる。美波がここまで来たタクシー代は、美波の経費。確定申告の時に領収証を提出すれば、ボールペン一本でも経費になる。
 自由業や自営業と呼ばれるフリーランスは、税金が一割と高め。100万円稼げば10万円が税金。少しでも抑えるため、色々な領収証を溜めておくのはみんながやっていること。
 外へ出たついでに、美波は仕事で使う付箋(ふせん)などを買ってマンションへ戻った。


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


 仕事を始めようとすると、親友の内田桃恵(うちだももえ)からの電話。
 美波と桃恵は大学時代から一緒に同人活動をしていた。お互いに高校時代から別々に創作をしていたが、同人誌のイベントで、美波の小説のファンだと桃恵から声をかけられたのがきっかけ。桃恵は現在デザイン会社で働いているが、仲良くなってからは“合同サークル”としてイベントに参加している。
 桃恵が書くのはBL漫画。一緒に“合同誌”として作ったり、“個人誌”を作ったりと自由な形。イベントでは桃恵の高校時代の友達数人が、売り子として毎回手伝ってくれるのも助かっていた。美波の作る同人誌に、時々挿絵を描いてくれたりもする。
『美波ー。イベ、申し込んどいたよ? 今回はどうする?』
 “どうする”というのは新刊の形態のこと。毎年夏と冬にある大きなイベントには参加するが、合同誌にするか個人誌にするか。桃恵は美波の仕事の都合を考慮してそう訊いてくる。
「ごめん。今回ギリになりそうだから、個人にするね。表紙だけお願い。プロットとイメージは、後でメールに添付するから」


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