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官能小説家のリアル
第7章 溜息

他愛ない話で笑い合い、次々と缶が空いていった。
「タワー!」
美波は缶を積み重ね、高くして喜んでいる。
「呑みすぎじゃないのか? お前、呑めば呑めるんだよなあ」
「んー。普段は、仕事があるからー。昼間からは呑めないでしょう? 呑みたいと思わないけどねー」
普段呑まない美波は完全に酔っている。美波に呑まされている直哉も、さすがに酔ってきた。
「オレ、間違ってたんだよなあ。ちゃんと見てないと、美波がどっか行っちゃいそうだ、って思って」
美波が首を傾げる。
「私、そんなに風船みたい?」
「おっ。さすが先生。いい表現だなあ」
笑い合うと、意味なく缶を合わせた。
「捕まえてなくても、美波はいてくれるのになあ」
「そう。私は、石みたいに、ここで直哉を待ってるから」
缶を置いた美波が、直哉に寄りかかる。
「ねぇ。しよう……?」
「何を?」
直哉が気付かない振りをすると、美波がクスリと笑う。
「分かってるくせにー」
「じゃあ、もっとちゃんと誘ってよ」
「んー……」
もう一度ビールを呑むと、美波が直哉を見つめた。
「抱いて? 直哉が欲しい……」
「一ヶ月分、な……」
唇を合わせると、すぐに舌を絡める。
「んんっ……」
お互いに熱くなった口内からクチュクチュという音。
美波が、直哉の首に腕を回す。
会わなかった時間を埋めるような長いキス。
「はぁっ……」
美波の艶めいた吐息を聞き、直哉はベッドへと誘った。

