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官能小説家のリアル
第8章  変化


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 並んで歩く美波の胸元には、直哉からのプレゼントのネックレス。
 光るのを見る度直哉は嬉しかったが、驚いて足を止めた。
「ここに、並ぶの……?」
 蛇行した長い列を見て、直哉が呟く。
 イベント会場の最寄り駅で降りると、人の波。それ以前から、早朝にしては人が多いと思っていた。
 直哉もテレビのニュースで会場内を見たことはあったが、ここまでだとは思わなかった。
「大丈夫。私達はサークル参加だから、チケットですぐ入れるの。ここにいるのは、一般参加の人達」
 美波に説明されても、直哉はすぐに理解出来ない。
 直哉が美波のキャリーバッグを引いているため、長い階段横のエスカレーターを使う。すると今度は、長い歩道橋。その先に、変わった形の建物が見える。
「あれかあ。五万人とか入れるんだろう? ネットで観たけど」
「恥ずかしいから、大きい声出さないでよぉ……」
 美波にすればいつものこと。初めての直哉は、少し興奮気味にキョロキョロしていた。
「美波、体力あるじゃん。結構駅から遠いよなあ」
「中入っても、少し歩くよ?」
「え……」
 チケットで中へ入ると、エスカレーターを降りて広い場所へ出る。
「トイレ大丈夫? 一応、今のうちにいっておいて?」
 そういわれ、直哉はまだ列になっていないトイレへ行ってきた。
「はぐれないようにね?」
 ホールの中は人も多いが、やたらと長テーブルが目につく。
「長テーブル?」
「あれが、スペース。私は壁際だから、後ろが広いよ」
 直哉はキョロキョロしながも、美波に送れないよう着いて行った。
「美波っ、おはよう。久し振りー。あっ。こちらが……」
 先に来ていた桃恵達が、直哉を見る。
「相良直哉です。初めまして……」
 いつものメンバーがそれぞれに自己紹介をし、準備を始めた。
「直哉。この段ボール箱、全部こっち側に置いてくれる?」
「分かった」
 容易いと思って箱に手をかけると、直哉はその重さに驚く。
「え……。何、これ」
「何って、本ですよぉ?」
 華と梨央が笑っている。


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