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ひと夏の恋……そして……
第16章 すれ違う気持ち

「本当に……和泉じゃないんだな」

「そうだよ。真和と一緒に海で遊んでくれたんだよ。和泉だったら無理だよね。日光に当たるの無理だったからさ…それに、すぐばれる嘘は言わないよ。ねっ!私を信じて」

私の言葉に納得してくれた夏樹は、立ち上がって佐伯さんに深々と頭をさげた。

「急に殴って申し訳なかった」

頭を下げる夏樹に佐伯さんは怒ることもせず、いつもの穏やかな表情で夏樹と会話をする。

「気にしないでください。先ほども言いましたけど、逆の立場だったら私も同じことをしたと思いますよ――ご挨拶が遅くなりましたね。私はこういうものです」

ポケットから名刺を取り出して夏樹に渡せば、夏樹も財布から名刺を取り出して佐伯さんに渡した。

「夏樹さんは、あの民宿のオーナーでしたか。近々あいさつに伺おうと思っていたんですよ」

「リゾート開発の件ですか?」

「そうです。担当が変わったことと、これからの事、いろいろと説明したいこともありましたので」


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