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ひと夏の恋……そして……
第16章 すれ違う気持ち

「何かあったら声をかけてくださいね。真和も迷惑かけないように」

「うん。ママおやすみ」

「では、おやすみなさい」

お風呂も佐伯さんと一緒に入るんだと言い出し、さっさとお風呂を済ませ部屋に戻ろうとする真和たちに声をかけた。
初めてのお泊りに心配しているのは私だけで、当の本人は平気そうな顔をしておやすみといって手を振り出て行った。
それが何だか寂しくて心細くなる。

「何か、静かだなぁ~~」

いつも騒がしい部屋も、真和がいないだけでシーンと静まり返っていた。
それに、真和が側にいないとすることがない。
いつもは時間がもっと欲しいと思っていても、いざひとりになると何をしていいのかもわからない。
洗濯物を畳んでもすぐに終わる。
部屋の掃除をしても時間は有り余る。

「本当に何しよう……」

そう思いながらカーテンを開けて外を見れば夏樹が立ってこちらを見ていた。
いつからそこにいたのか分からないけど、会いに来てくれたと思うと自然とほほが緩む。


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