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没落お嬢さま
第25章 第二十四夜
「あのう、今日は、どういたしましょう?」

机の上に夜食を置き終えたいずみは、慎重に身構えて、自分から亮生に尋ねてみた。

「今夜は、もう戻ってもいいよ」

亮生は、ニコニコしながら、答えた。
どうやら、昨夜の快感の余韻がまだ残っているような感じなのである。

いずみも、今日は亮生の精神が平静である事を確信して、安心したのだった。

「ああ。君」

と、帰りかけたいずみの事を、亮生は呼び止めた。

「何でしょう?」

そう口にしつつ、いずみは振り返った。

「昨日の君は、それほど嫌そうでもなかったね。
君自身も、けっこう、楽しんでいたような感じもする。
何か、あったのかい?」

「それは・・・」

と、いずみは口ごもった。

「だって、初めての日は、あんなに辛そうに泣いていたじゃないか。
やっぱり、あの時は、処女を喪失したのが悲しかったのかい?」

いずみは、本当の事を説明すべきかどうか、迷っていた。
男の亮生には、いずみの懸念を正しく伝えるのは、とても面倒くさそうだったのである。
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