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没落お嬢さま
第26章 第二十五夜
「僕はね、君の姿を眺めていたいんじゃない。身近で君の事を感じたいんだ。
その為の何かが欲しいのさ」

「私の所有している持ち物の何かが欲しいのですか?」

「違う。君の体の一部が欲しいんだ。
それも、抱きしめた時の、あの感動を思い出せるような何かをね」

いずみは、不安に襲われて、息を飲んだ。
その顔は、恐怖で、一気に血の気が引いたのだ。

「ご、ご主人さま。どうか、恐ろしい事だけは、お考えにならないでください。
私の肌を切り取るようなマネだけは、何とぞ、ご容赦ください」

いずみは、震える声で、亮生に懇願したのだった。
ただでさえ、彼女の性器には、指輪が取り付けられたままなのである。

「僕が欲しいのは、肉のカケラなんかじゃない。君の毛だよ。
大体、肉なんて、すぐ干からびちまうだろ」

亮生がそう言ったものだから、いずみも、いくぶんかホッとしたのだった。
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