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没落お嬢さま
第27章 第二十六夜

  第二十六夜

翌晩、いずみが夜食を持って、亮生の部屋に訪れてみると、そこには見かけない木箱が置かれていた。

1メートル四方はありそうな、かなり大きめな木箱だ。
フタはしまっていて、梱包した荒縄もそのままなのである。

日中、いずみがこの部屋へ掃除に入った時は、この木箱は無かったので、どうやら、ほんのさっき、持ち込まれたものと考えて、間違いなさそうだった。

「これは、君の為に購入したものだ。
開けてみていいよ」

と、楽しそうな亮生が、狼狽しているいずみへと告げた。
だったら、いずみもこの箱を開けてみるしかないのである。

荒縄をほどき、天井のフタを取り外してみると、箱の中には沢山の緩衝材が詰まっていた。
その緩衝材を押し分けて、奥を探ってみたら、そこからは大きなツボが現れたのだった。

素焼きした、レトロ感あふれる、細長いツボなのだ。

いずみはそのツボを両手で抱えて、ポカンとしながら、亮生の方を見つめた。

「うんうん。似合ってるよ」

微笑みながら、亮生が言った。
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