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没落お嬢さま
第32章 第三十一夜

  第三十一夜

翌日の夜、いずみが夜食を持って、亮生の部屋に入ってみると、亮生はひどく落ち着いた感じで、机に座っていた。

別におかしな話でもない。
セックスした次の日は、亮生は、大体はスッキリしていて、気分が良好なのである。

しかし、今日の亮生は、いつになく冷静だったようにも感じられた。

「明日の晩は、外泊しなくちゃいけないから、屋敷には戻ってこないんだ」

と、亮生の方から、いずみへと説明したのだった。

「では、明日の夜食は運ばなくてよろしいのですね」

「そうだ」

「今夜は?」

「今日も、もう下がっていいよ」

亮生の態度は、終始さっぱりしていた。
何やら、明日の外泊の事で、彼は頭がいっぱいらしくて、それで、今夜は、心を平静に保っていたみたいなのだった。
彼は、いずみの事を、つまみ食いしようともしなかったのである。

代わりに、昨日、思いっきり遊んでおいた訳らしいのだ。

いずみは、明日の外泊の内容を、詳しく、亮生に聞こうともしなかった。
聞いたところで、自分とは、あまり関係のない話だと思ったからだ。

彼女は、静かに退室したのだった。
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