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没落お嬢さま
第34章 第三十三夜
と言っても、いずみの立場としては、その辺の事情を深く探る訳にもいかないのである。
だから、彼女は、亮生に言われた通りに、今日は、素直に引き下がったのだった。

そして、亮生は、いずみが出て行くまで、ついに机から顔を上げようとはしなかったのである。

亮生の部屋から廊下へ出たいずみは、やっと重苦しい空気から解放されて、ホッと息をついた。

何となく、亮生の様子が気に掛かるのだけは、事実なのである。

ふと、いずみには、自分が持っていた、手付かずの夜食が目にとまった。
彼女は、つい、その夜食へと手を伸ばすと、ティーカップを持ち上げ、中に入っていたレモンティーを、そっと口にしたのだった。
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