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没落お嬢さま
第4章 第三夜
第三夜
その次の日も、夜9時になると、前日の約束どおりに、いずみが亮生の部屋に夜食を届けに現れたのである。
いずみは、すっかり従順になっていた。
部屋に入るなり、無表情に、静かに、夜食とコーヒーを亮生の机の上に置き始めたのだ。
亮生の方も、ひどく上機嫌だった。
彼は、おとなしく任務を全うしているいずみの事を、終始ニヤつきながら、眺めていたのである。
「その服、昨日のやつを洗濯したのかい?」
ひょっこりと、亮生がいずみに尋ねてきた。
「違います。予備の制服です」
いずみは、顔色も変えず、素っ気なく答えた。
彼女は、テキパキと自分の作業をこなすと、さっさと部屋から出て行こうとしたのだった。
しかし、それを亮生は阻んだ。
「待ちなよ。
まだ帰っていいとは言ってないよ」
その言葉に対し、いずみが顔をしかめたように見えた。
だが、彼女は、すぐ元のすました表情に戻り、その場で立ったまま、待機したのである。