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没落お嬢さま
第37章 第三十六夜
「これで満足してはいただけませんか」

いずみが尋ねてみると、亮生は、まだまだ期待している目で、いずみの方を見続けていた。

「困りましたねえ。
それでは、今日は、マッサージはいかがでしょうか」

そう言うと、いずみは、亮生の背後に立ち、本当に、椅子に座っていた彼の両肩を掴んだのだ。

それは、確かに、ただの肩もみだったのである。
しかし、いずみの手に肩を押されているのかと思うと、亮生も、ちょっとワクワクしてきたのだった。

いずみは、大真面目に、亮生の肩を丁寧に揉み始めた。
女の子の指の繊細な感触が伝わってきて、なかなか気持ちがいいのである。

ところが、いずみは、肩だけでは終わらせなかったのだった。

彼女は、手をゆっくりと移動させ始めたのである。
亮生が、身をすくめて、小さな声を発した。

と言うのも、いずみは、肩から移って、今度は、亮生の敏感な両脇腹を揉み始めたからである。
くすぐったいけど、でも、こうして体を触られていると、亮生もゾクゾクしてきたのだ。
ベッドの上でペッティングしているのと、同じような気分になってきたのである。

いずみもまた、亮生がそんな気持ちになってくれると分かっていて、マッサージを始めたのであろう。
亮生からは見られない位置で、いずみは、少し得意げな表情を浮かべていたのだった。
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