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没落お嬢さま
第39章 第三十八夜

  第三十八夜

翌日は、夜食を持って、部屋に訪れたいずみも、どことなく、すねた感じだった。
それを見て、部屋で待っていた亮生は、可笑しそうに、笑顔になったのだ。

「どうしたんだい。やけに、虫の居所が悪そうじゃないか?」

亮生が、陽気に、いずみへと尋ねた。

「ひどいわ。理由はご存知のくせして」

ツンとしたまま、いずみが返した。

「分からないなあ。教えてくれよ」

ニヤニヤしながら、亮生がさらに聞く。

「だって、私ばっかり、イカされてるんですもの。
照れ臭いわ。あんな姿を、いつもいつも、見られちゃって」

はにかみながら、いずみは答えた。

「昨日だって、可愛かったよ」

「やだ。思い出さないでください。恥ずかしいです」

いずみは、本気で顔を赤らめていた。

「でも、気持ちも良かったのは確かなんだろう?」

「それは・・・」

「よし。じゃあ、今日は二人で一緒にいこうか」

「え」

「今日は、僕も精力が戻っていてね。そろそろ、できそうな感じがするんだ。
二人で楽しみながら、イクんだったら、嫌じゃないだろ?」

いずみの顔には、笑みが浮かんだ。

「相手をしてくれるかな?」

「はい」

いずみは、明るく承諾したのだった。
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