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没落お嬢さま
第45章 第四十四夜
いずみが上半身だけ裸になった時、亮生はいったんストップをかけた。

「そこまでで、いい。
下の方は、僕が脱がしてやるよ」

「あ、あのう」

「何だ?」

「今日は、お体の調子もよろしいのではありませんか。
セックスのお相手をいたします。
それで、ご機嫌を直していただけませんか」

「ふざけるな!何を言ってやがる。
他の男の匂いがついてる君なんて、今日は抱きたくもないよ。
ほんと、君って女は、アレの事しか頭にないんだな!」

亮生が、怒涛のように叱りつけた。

いずみは、ビクッと全身を震わせたのである。
セックスの話を持ち出したのは、どうやら、逆効果だったみたいなのだ。

さらに、亮生が手にしていたものに気付いて、いずみはスッと血の気が引いたのだった。
亮生は金属製の手錠を持っていたのである。

「そ、それは?」

「心配するな。オモチャだよ。
もっとも、本物同様に、カギを使わないと外せないけどね」

「わ、私が掛けるのですか?」

「当たり前だろ」

「後ろ手で?」

「いや。背中じゃなくていいよ。
さあ、僕の方に手をよこせよ」

いずみは、自然と涙が出そうになってきた。
しかし、亮生の命令には逆らう事はできなかったのである。
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