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没落お嬢さま
第46章 第四十五夜
「この女の口さえ封じちまえば・・・」
「バカ。よけい取り返しがつかなくなるぞ!
それよりも、機嫌をとって、許してもらった方が・・・」
男たちは、うろたえながらも、まだ小声でそんな事を相談しあっていた。
そのような彼らのことを、いずみは鋭く睨みつけたのである。
「あんたたち!もう、何をしてもムダだと言ってるのが、まだ分からないの!
それより、早く、ここから出て行ったら?
少しでも遠くに逃げていれば、もしかすると、助かる見込みもあるかもよ」
動揺している男たちは、あっさり、いずみの忠告に従ったのだった。
すなわち、慌てながら、急いで、この廃屋から走り逃げてしまったのである。
こうして、あとには、いずみ一人だけが残った。
どうにか危機を乗り切れた事で、彼女もいっぺんに緊張の糸が切れたようだった。
彼女は、弱々しく肩を落とすと、とめどもなく涙を流し始めたのである。
「亮生さん・・・。亮生さんのおかげで、助かった」
彼女は、泣きながら、しみじみと、そう呟いていたのだった。
そして、その日は、いずみは、亮生の元には姿を見せなかったのである。
一方の亮生は、いずみが部屋に来るのを、ずっと待っていたのだった。
と言うのも、いずみは前回、有休の日でも、夜食だけはきちんと彼の部屋に届けに来たからである。
なのに、この日は、とうとう、夜食ですら、持って来たのは、いずみ以外の使用人だったのだ。
にも関わらず、それでも亮生は、いずみが、夜食とは関係なく、顔を出してくれる事を期待していた。
彼は、自分の部屋で、悶々として、いずみの来訪を待ち続けていたのである。
「バカ。よけい取り返しがつかなくなるぞ!
それよりも、機嫌をとって、許してもらった方が・・・」
男たちは、うろたえながらも、まだ小声でそんな事を相談しあっていた。
そのような彼らのことを、いずみは鋭く睨みつけたのである。
「あんたたち!もう、何をしてもムダだと言ってるのが、まだ分からないの!
それより、早く、ここから出て行ったら?
少しでも遠くに逃げていれば、もしかすると、助かる見込みもあるかもよ」
動揺している男たちは、あっさり、いずみの忠告に従ったのだった。
すなわち、慌てながら、急いで、この廃屋から走り逃げてしまったのである。
こうして、あとには、いずみ一人だけが残った。
どうにか危機を乗り切れた事で、彼女もいっぺんに緊張の糸が切れたようだった。
彼女は、弱々しく肩を落とすと、とめどもなく涙を流し始めたのである。
「亮生さん・・・。亮生さんのおかげで、助かった」
彼女は、泣きながら、しみじみと、そう呟いていたのだった。
そして、その日は、いずみは、亮生の元には姿を見せなかったのである。
一方の亮生は、いずみが部屋に来るのを、ずっと待っていたのだった。
と言うのも、いずみは前回、有休の日でも、夜食だけはきちんと彼の部屋に届けに来たからである。
なのに、この日は、とうとう、夜食ですら、持って来たのは、いずみ以外の使用人だったのだ。
にも関わらず、それでも亮生は、いずみが、夜食とは関係なく、顔を出してくれる事を期待していた。
彼は、自分の部屋で、悶々として、いずみの来訪を待ち続けていたのである。