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没落お嬢さま
第47章 第四十六夜
第四十六夜
そして、翌日が来たのだ。
この日の夜は、いずみは、きちんと亮生の部屋に夜食を持って現れたのだった。
昨夜は、亮生が、あれほど、いずみの事を待ちわびていたと言う事も知らずにである。
いずみの様子はひどく落ち着いていた。
彼女も、昨日はあんな事があったにも関わらずだ。
亮生の方もすぐには動き出さず、険しい表情で、いずみが机の上に夜食を置き終えるのを待っていたのだった。
彼女の一連の作業が済んだ時、ついに亮生は行動に移った。
「いずみくん!」
と、亮生は、いずみの方を強く見つめながら怒鳴った。
「何でしょう?ご主人さま」
いずみは、顔色一つ変えず、穏やかな口調で答えた。
亮生は、いずみの前で、威圧するようにバッと椅子から立ち上がった。
しかし、いずみはどっしりと構えており、少しも怯えたりはしなかったのである。
すると、亮生が、いずみの前に静かに寄り添って、その肩を大事に抱いたのだった。
「一昨日は悪かった。僕がやりすぎたよ。本当にごめん。
怒らないでおくれよ。
昨日は君が休んだりしたものだから、本当に心配したんだよ。
お願いだ。これからも僕を一人にしないでおくれ。
僕は、もう君なしでは、きっとダメなんだ」
亮生の口からは、かつてないほど優しい言葉が飛び出したのであった。