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没落お嬢さま
第47章 第四十六夜
「実を言いますと、ご主人さまも、きっと、お飲みくださると思って、今日の夜食の飲み物はウイスキーをついできたのです。
ぜひ、ご堪能くださいませ」

いずみが、とんでもない事をサラリと口にしたのだった。

でも、いずみの誘惑に流され始めていた亮生は、迷いつつも、つい頷いてしまったのである。
真面目だった性格が、とうとう、快楽への興味に負けてしまったのだ。

彼は、ウイスキーの入ったカップを手に取った。
それを口元へ持っていくと、一気に飲み干してしまったのである。

彼の目の前では、いずみが、嬉しそうに微笑んでくれていた。
亮生にしてみれば、いずみの愛らしい笑顔を見られただけでも、十分な収穫なのだった。

もっとも、お酒自体は、彼には、それほど美味しくは感じられなかった。
はじめて飲むアルコールだから、なおさら味が分からなかったのかもしれない。

それでも、亮生が素直に従ってくれたものだから、いずみの方は大変に満足そうだったのだ。
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