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没落お嬢さま
第7章 第六夜
第六夜
その翌日も、最初は前日と同様だった。
亮生は、部屋へと入ってきたいずみに対して、しばらくは声も掛けずに、彼女が作業を行なっているのを、ただジッと眺めていたのである。
やがて、夜食を机に並べ終えたいずみは、お盆を抱えたまま、後ろへと引き下がった。
その場所で、亮生から退室の指示が出るのを待っていたのだ。
亮生の目には、そんないずみが、何だか、すましているようにも見えた。
「君。嬉しそうだね」
と、亮生は言ってみた。
「いえ。そんな事はありません」
素っ気なく、いずみが答えた。
「僕に体の点検をされないで済むものだから、安心しているのかい?」
「いいえ。そのような事は言っておりません」
いずみは、相変わらずポーカーフェイスのままであり、声のトーンも変わらないのだ。
「生理はまだ終わらないの?」
「はい。まだしばらく続くと思います」
亮生は、いずみの美しい顔を、ずっと観察し続けていた。
「そうだ。キスしてみようか」
「え?」
亮生のいきなりの提案に、いずみは、少しだけ動揺した様子を見せたのだった。