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没落お嬢さま
第10章 第九夜
第九夜
翌日も、これまでと変わらず、いずみは亮生の部屋へと夜食を届けていた。
しかし、今夜の彼女はやたらとビクビクしていたようだ。
それと言うのも、前日、全てが誤解だと分かってもらえたはずにも関わらず、亮生は、彼女に対して、一言も謝りもしなかったからである。
あのあと、彼女は、ただ退室だけを許してもらえたのだ。
そして、そのまま今日が訪れたのである。
いずみは、亮生の反応が怖くて、ずっと怯えていたようなのだった。
彼女が、机の上に夜食を置いている最中、おどおどしている彼女の体はあからさまに震えていた。
一方の亮生は、ブスッとした表情で、何も喋ろうとはしなかったのだ。
やがて、いずみが全ての食器を机の上に置き終えた。
彼女がかしこまって、一歩下がろうとした時に、ついに亮生が動いたのだった。
彼は、遠のきかけたいずみの腕をグイッと掴んだ。
いずみはビクッとしたが、逆らったりはせず、亮生も、そんな彼女の体を自分の方へと引き寄せたのだ。
いずみは体を震わせていて、瞳はすっかり潤んでいた。
その彼女に対して、亮生はいきなり口づけをしたのである。
例の激しいディープキスだった。
いつもと少しだけ違ったのは、いずみの方は、まるで積極的ではなかった点だ。
彼女は、されるがままに、唇を亮生に委ねていたのである。
亮生は、震えているいずみの口もとを一方的に責め立てていた。
あまりにも、いずみが動かないものだから、まるで等身大の人形相手にキスをしているみたいなのだ。
でも、その事に、亮生は十分、満足していたようなのだった。