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没落お嬢さま
第12章 第十一夜
そして、その日の夜9時が、またやって来たのである。
今日の亮生は、いつになく機嫌が良かった。
その事は、いつものように夜食を持ってきたいずみに、逆に不安を感じさせたのである。
夜食を机に置き終えたばかりのいずみの体を、亮生がいきなり無言で触る事もなかった。
しかし、作業が終了し、いずみが一息ついた時に、いよいよ亮生は動き出したのである。
「いずみくん。ご苦労。
これで、君も、今日で10日以上、この屋敷に勤めた事になるね」
亮生は、やたらと優しい口調で、いずみに話し掛けた。
「は、はあ」
いずみは、ぼんやりとした感じで答えた。
「反抗的な時もあったが、僕がしつけた事もあって、今はようやく、自分の立場をわきまえるようにもなったみたいだ。
そこでだ。これからは、君の事を、正式に僕のものとして認めてあげたいと思う」
亮生は告げた。
「一体、どう言う事なのでしょうか」
暗い表情で、いずみは聞いた。
「考えてごらん。君は、もともと、僕の妻になるはずの人間だったんだ。
気の毒にも、実際には、妻ではなく、小間使いになってしまった訳だが、でも、結局のところ、僕の身の回りの世話をしてくれているのだから、似たようなものだと見なしてもいいだろう。
そこで、君の事を、特別に、僕の妻のように扱ってあげようと思うのだ」
そう言うと、亮生は、ごそごそと自分の机の中を漁りだした。
そして、引き出しの奥から、手のひらに乗るぐらいの小箱を取り出したのである。
今日の亮生は、いつになく機嫌が良かった。
その事は、いつものように夜食を持ってきたいずみに、逆に不安を感じさせたのである。
夜食を机に置き終えたばかりのいずみの体を、亮生がいきなり無言で触る事もなかった。
しかし、作業が終了し、いずみが一息ついた時に、いよいよ亮生は動き出したのである。
「いずみくん。ご苦労。
これで、君も、今日で10日以上、この屋敷に勤めた事になるね」
亮生は、やたらと優しい口調で、いずみに話し掛けた。
「は、はあ」
いずみは、ぼんやりとした感じで答えた。
「反抗的な時もあったが、僕がしつけた事もあって、今はようやく、自分の立場をわきまえるようにもなったみたいだ。
そこでだ。これからは、君の事を、正式に僕のものとして認めてあげたいと思う」
亮生は告げた。
「一体、どう言う事なのでしょうか」
暗い表情で、いずみは聞いた。
「考えてごらん。君は、もともと、僕の妻になるはずの人間だったんだ。
気の毒にも、実際には、妻ではなく、小間使いになってしまった訳だが、でも、結局のところ、僕の身の回りの世話をしてくれているのだから、似たようなものだと見なしてもいいだろう。
そこで、君の事を、特別に、僕の妻のように扱ってあげようと思うのだ」
そう言うと、亮生は、ごそごそと自分の机の中を漁りだした。
そして、引き出しの奥から、手のひらに乗るぐらいの小箱を取り出したのである。