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没落お嬢さま
第3章 第二夜
第二夜
翌日、亮生は、何事もなかったように、夜9時になると自分の部屋へと閉じこもった。
だが、一つだけ昨日とは違った点があった。
今日は、最初っから、いずみを、夜食を持ってくる係として、指名しておいたのだ。
やがて、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
亮生がドアの方へ振り返り、許可を与えると、希望した通りに、夜食を持ったいずみが入ってきたのだった。
昨日と同じメイド服姿である。
美しくて、体型も良かったいずみには、可愛らしいメイド服はとても似合っているように見えた。
ただし、昨日のいずみとは違って、今夜のいずみは、ひどく沈んでいた感じだった。
顔色は青白く、今にも泣きそうな雰囲気なのである。
もっと良く観察すれば、彼女が小さく震え続けていた事も見抜けたはずであろう。
彼女は、おとなしく、亮生のそばにまでやって来た。
それから、ゆっくりと夜食の食器類を机に置き始めたのである。
その間、亮生は、いずみの姿を、穴があきそうなほど、じっと眺め続けていたのだった。
緊張するいずみは、目視でも分かるほど、派手に震えだした。
彼女が持った食器も、音を立てて揺れていた。