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没落お嬢さま
第3章 第二夜
「いずみくん!」

と、いきなり亮生が大声を出した。

「ごめんなさい!」

怯えるいずみが、慌てて反射的に答えた。
彼女はかしこまって、ぴんと直立した。

「いずみくん。
まず、僕に、何か言うべき事があるんじゃないのかい?」

亮生は、さらに厳しく、いずみへと問いかけた。

「だから、ごめんなさい!
昨日は、全部、私が間違っていました。
認めますから、どうか許してください!」

泣きそうないずみは、声を振り絞って、そう訴えたのだった。
この一晩の間に、彼女は、色々と冷静に考え直したようなのである。

「謝って済むような問題じゃないよ。
昨日、君は、僕にどんな失礼な態度をとったのか、覚えているのかい?」

亮生の追求の態度は厳しかった。

「分かってます。
それで、こうして謝ってるんじゃない」

半泣きの声で、いずみは言い返した。

「馴れ馴れしい口を聞くんじゃないよ。
君は、この家の使用人なんだよ。使われている身分なんだ。
そのへんが、まず分かってないんだよな」

「ご、ごめんなさい」

「謝る時は、申し訳ありませんでした、だ」

「も、申し訳ありませんでした」

いずみが、辛そうに言い直した。
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