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没落お嬢さま
第17章 第十六夜
それは、高価そうなドレスだった。
たいへんお洒落な装飾が施された、青いドレスなのである。

「これは、私の着ていたドレス。
私が持っていたドレスです!間違いありません」

いずみは言った。

「やっぱり、そうか。
僕も一目見て、そうじゃないかと思ったんだよ」

亮生も、陽気に言葉を返した。

「どこで見つけたのですか?」

「売りに出されていたのを、たまたま発見したんだ。
すぐ、君が着ていたものじゃないかと思ったよ。
それで、急いで買い取ったんだ」

「よく、私のものだと分かりましたね」

「君は、僕と会う時は、そのドレスばかりを着ていたからね。
それで、しっかりと覚えていたんだよ。
これって、君の一番のお気に入りだったんだろう?
確かに、よおく似合っていたからな」

いずみが、つい顔をほころばした。

「そのドレスを買った費用は、友人に立て替えさせておいた。
あとから、その友人に、違う名目でお金をあげて、その上で、僕へのプレゼントの形にして、その服を贈らせた訳だ」
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